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入江あき子の県議会日記

日々の活動や想いを綴ります。

季節の花の写真(シュウメイギク)

あっぱれ!埼玉県 

11月9日(金)

会派メンバープラス佐倉と木更津の市議で埼玉県庁へ。
生活保護受給者に対する総合的な自立支援の取り組みをしていることを
知って視察を申し込み、この日をとても楽しみにしていた。

対応してくださったのは、社会福祉課の大山典宏さんと笹木健一さん。
お二人ともにこにこと出迎えてくださり、誇りと自信を持ってお仕事を
されている雰囲気が初対面からも伝わってきた。

まず、事業概要を丁寧にご説明いただく。
埼玉県が22年9月から行っている生活保護受給者チャレンジ支援事業は、
「アスポート事業」と呼び、教育・就労・住宅の3つの分野から
生活保護を利用している方々への支援を行っている。

アスポートという名称は、「明日に向かって船出をする港」と
「明日へのサポート」を意味する言葉とのこと。
「社会の中で心身ともに疲れている方々が立ち止まって休める港としての
役割を果たしていきたいとの思いが込められています。」と大山さん。
この発想が素晴らしい!
とかく生活保護というと世の中の主流は「怠けて働かない人たち」との
レッテル張りや不正受給問題や保護費増大だけに目が向けられ、
制度本来の趣旨が理解されず、貧困問題をいかに解決するかの視点が
欠如している。
最近、今年の流行語大賞に生活保護を揶揄する「生ポ」という言葉も
あがっていると知り、愕然とした。
何という世の中なのだろうか…。

話がずれたが、このアスポート事業の特徴は5つあり、
いずれも「常識」を打破する取り組みが行われている。
1.県が事業の実施主体となる→県と福祉事務所の壁を超える!
2.全県の福祉事務所が対象→福祉事務所の壁を超える!
3.就労・住宅・教育をトータルで支援→担当課の壁を超える!
4.民間団体との積極的な連携→行政と民間の壁を超える!
5.待つのではなく手を伸ばす支援→相談機関と家庭との壁を超える!

3本柱のうち一番関心があったのは、教育支援事業。
保護世帯で育った子どもが大人になって再び保護を受けるという
「貧困の連鎖」の発生率が25.1%という数字もあり、
それを防ぐためにはまず何よりも教育の力が不可欠という視点で
保護世帯の中学生を対象に教育支援が行われている。
23年は中3の対象者801人のうち、305人が参加し、296人が高校に進学。
進学率は97%で、21年の埼玉県の生活保護世帯の進学率86.9%から
10ポイントも増加という成果を早々と得た。

そこで、今年度は支援員を30人から45人に増やし、ボランティアも
400人から450人に増やし、学習教室も10か所から17ヵ所に増設。
中学3年生の参加者は305人から450人になったという。
この事業の要となるのが支援員で元高校教員などの方々を国からの
緊急雇用対策基金を使って雇用。
ボランティアについては、大学の先生方と連携し、教員や公務員を
めざす学生が担っているという。
支援員さんが生活保護世帯を家庭訪問し、高校進学の重要性を粘り強く
語りかけ、子どもたちは特養(特別養護老人施設)で開かれている
学習教室に通ってくる。

特養に設置した意図は、勉強を教えてもらうだけではなく、高齢者や
地域の大人たちとの交流が生まれてほしいとの福祉的な視点によるもの。
「単なる塾だったら、行政がやる意味がない」とのこと。
県の老人福祉施設協議会の方も「社会福祉法人の使命である社会貢献が
できる」と全面的に協力。
子どもたちが特養のクリスマスパーティなどの行事にも参加したり、
お年寄りが子どもたちに合格祈願のお守りをつくり、合格お祝い会を
開いたりなど、心の通う関係が生まれている。

初年度は県内に5か所しか学習教室がなかったので、秩父から2時間半
かけて通ってくる子どももいたが、現在は遠くても1時間程度で通える
ようになったという。
それぞれ学習進度が違うので、大学生たちがマンツーマンで教えている。
現在、35大学の468人の学生が参加しているそうだ。
通ってくる子どもたちの4人に1人は母子家庭、6人に1人は不登校。
「ぜひ通いたいが、交通費の負担が…」との母子家庭の子どもがいたが、
交通費についても生活保護費とは別に支給されることが分かり、
安心して通っているという。

他の2事業である就労支援と住宅支援についても、とても素晴らしい
取り組みをお聞きした。
いずれも支援員が要となって生活保護受給者のやる気、主体性を大切にし、
現実的な路線で一歩一歩進んでいけるようバックアップしていく
「階段型」の支援が行われている。
仕事が決まったら終わり、住まいが見つかったら終わりではなく、
安心して生活していけるよう継続的に支援する体制をとっている。

20年のリーマンショック後、生活保護世帯が急増。
この緊急事態を何とかせねばと上田知事が思い立ち、早急に事業を
進めるように指示し、22年4月に検討グループが発足。
担当課としては「12月議会に提案できれば」と考えていたところ、
「それでは遅い!もっと急げ」と叱咤激励され、6月議会には予算提案、
9月からの実施となったという。
知事のリーダーシップもすごいが、それを実現する職員の資質、能力、
そして何よりも視点が素晴らしい!
「貧困問題をいかに少なくするか」という政策課題をいかに解決するか
福祉的視点、財政的視点、中長期的視点に立って実に有効な支援策が
練られている。

財源面を伺うと、国の緊急雇用対策やセーフティーネット補助金を
使って10分の10、つまり100%国の財源で行われているとのこと。
初年度は半年間で4億円の予算だったが、今年度は9億円が計上され、
その使い道のほとんどは人件費、その他は支援員が家庭訪問する
交通費など。
国から補助金・交付金がきて、さて何に使うか、市町村に配るか
といったばらまきの発想ではなく、これこそまさに生きた税金の使い道
ではないだろうか。

国との折衝で、来年度予算の目途が付いたとのこと。
「埼玉だけでがんばっていてもダメなのです。このような取り組みが
全国に広がってこそ、国への説得力、理解も得られます。」と大山さん。
来年度には、静岡県熊本県も実施予定だそうだ。
わが千葉県でもぜひ取り組んでほしい。

デジカメ故障中で、今回の写真は「佐倉草ぶえの丘にあるバラ園」の1枚
バラ園
去年訪れた時のショットです。

秋のバラを見に行きたいなーと思いながらも、
スケジュールに追われる毎日。

緑の中でほっと一息つきたい方は、ぜひ草ぶえの丘にお越しください。
オールドローズ中心で、バラ好きにはたまらない希少品種もたくさん。
印旛沼から野鳥の森方面に上った、とても素敵なところですよ!

カテゴリ: 視察

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